しらこにっき

独身アラサー女、ドラマから人生を学ぶ。

【ネタバレ】「初恋の悪魔」6話考察。ヘビ女は悪者だったのか?

「初恋の悪魔」6話の考察・レビューです。

鹿浜が、星砂が「2人いる」ことも、星砂の過去も、余計な言葉は言わず過剰に反応もせず、ただフラットに受け入れた姿にぐっときました。

ただ、対照的な馬淵の優しさにぐっときた人もきっといるはずです。

何を「優しさ」と受け取るか、その人をどんな人だと切り取るのか。

自分が他人をどう見ているのか?という視点に気付かされるドラマだなあ、と6話でつくづく思いましたね。

そんなことを以下、つらつらと書いてます。

 

 

「初恋の悪魔」6話考察・レビュー

馬淵と鹿浜、それぞれの優しさ

  • 馬淵は星砂に、「根拠のない大丈夫は、優しさでできてます」と言う。
  • 鹿浜は星砂に、「信じきることはできないけど、もしまた君がいなくなることがあったら後は引き継ぎます」と言う。

どちらも星砂を想う気持ちから出たものだけど、言葉の表し方はこうも違う。

馬淵と鹿浜にはそれぞれの正義があって、その正義に基づく優しさの示し方が違っているのだ。

正義というのは、人の数だけある。

だからもちろん、言葉を受け取る側の人間にも正義があるわけで、その言葉を優しいと感じるかどうかは人によって異なるはずだ。

ふたりの間にある言葉や行動を、同じように「優しい」と思えた人間同士が、結びつくのかもしれない。

  • 馬淵の感情的な優しさに反応するトラ星砂と、距離をとるヘビ星砂。
  • 鹿浜の理性的な優しさに反応するヘビ星砂と、惹かれなかったトラ星砂。

同じ「優しさ」であっても、それを「優しさ」として受け取るかどうかは人によってそれぞれだ。

つまり、「優しさ」は言葉や行動それ自体ではなくて、受け取り手の切り取り方によって決まるといえる。

この人は優しい/優しくないというように、白か黒かで語れるものではない。

グレーであって、グラデーション的なものなのだと思う。

ヘビ女は悪者なのか

けれど私たち人間は、他人のことをしばしば決めつけてしまう生き物だ。

「初恋の悪魔」6話は、特にそれを気付かせてくれる回になっていた。

私たちはこれまで「ヘビ女」がどんな人物なのか、トラ星砂の言葉からしか知ることしかできなかった。

そうやって間接的に、断片的に切り取られた「ヘビ女」像はどうなっていただろうか。

「ブランドを買いこむ派手な人」「ヘビ女と呼ばれ恨まれるような人」のような、ネガティブなイメージを描いていなかっただろうか。

6話ではヘビ星砂の過去が一気に語られ、切実に生きてきた想いを知り、今までのイメージを一気に覆す展開になっていた。

私たちは知らず知らずのうちに、ヘビ女のことを勝手に決めつけていたのだ。

 

 

署長、朝陽、馬淵、森園……善か悪か?

これからどんどん、そういうイメージの反転が起こっていきそうな予感がする。

署長の善と悪。それから正義感が強いまじめな警察官だったと思われる朝陽は、リサをどのように巻き込んでいったのか。

いつもニコニコして感情をためこんでいた馬淵は、ついに人をなぐる。

ヤバいやつだと思っていた森園は、ある事件に責任感を覚えている元弁護士だった。

でも忘れないでおきたいのは、どちらが本性ということではなく、あくまでグラデーションだということだ。

5話で登場したおばあさんは、監禁して犯罪を犯すような極悪人だったのか、鹿浜に愛情をたっぷり注ぐ心底優しい人だったのか? といえば、そのどちらでもないだろう。

「人を殺す動機があるぐらい普通です」という馬淵の言葉もあったけれど、優しい部分も優しくない部分も人間にはそれぞれあって、ある瞬間にある他人からどう切り取られるのか、というただそれだけなのだ。

4人の「友達」は「友達」のままでいられるのか

それでも私たちは、善か悪かもわからない他人と出会い、関わりあいながら生きていくことになる。

そのとき、他人を疑い続けていたらキリがない。

だって、私たちは「人を殺す動機があるぐらい普通」なのだから。

それでも、誰かと向き合ったその瞬間に確かに感じた優しさをもって、その人を信じられるかどうか。

それには勇気が必要だ。5話で「カラオケ行く?」という言葉に「いいよ」と返した鹿浜のように。

ヘビ星砂が現れて、馬淵とトラ星砂はどうなるのか。

鹿浜とトラ星砂の関係によって、4人の「友達」はどうなるのか。

グラデーションのように変わり続けていくお互いを、どのように受け入れ合っていくのか。

とにもかくにも、4人の行く末を見守りたい。

おわりに

星砂の回想シーンを観ていて、こんなドラマ大衆ウケするわけないな~とぼんやり思ったりしてました(褒めてる)。

ぼんやり観てたら訳のわからないようなドラマを、うっかり地上波22時で放送したりするから連ドラウォッチャーはやめられないんだよな。

それにしても、満島ひかりってなんなんでしょうね。

立ち姿だけであんなに痛みと希望をたたえている人、ちょっと他に知らないかもしれないです。

↓Twitterでもドラマの話あれこれしてます。

「初恋の悪魔」概要

2022年7月期 日本テレビ系ドラマ「初恋の悪魔」
放送日:毎週土曜日22:00~
主演:林遣都、仲野太賀
脚本:坂元裕二(「大豆田とわ子と3人の元夫」「カルテット」など)
プロデュース:次屋尚、池田偵子
演出:水田伸生、鈴木勇馬、塚本連平

↓第5話考察はこちら