「僕が知っている限り、あなたはいなくなりません」は、大豆田とわ子の「あなたが笑ってる彼女を見たことがあるなら、彼女は今も笑ってるし」とほぼ同義ですよね… #初恋の悪魔
— しらこ@ドラマ (@shirako_drama) August 6, 2022
ドラマ「初恋の悪魔」4話の感想です。
星砂に向けて馬淵が言った「僕が知っている限り、あなたはいなくなりません」という言葉、星砂はいつか消えてしまうほうの人格であることの伏線にも聞こえました。
「大豆田とわ子と3人の元夫」などで、生きている人間と死んでしまった人間の関係性について名台詞を残している坂元裕二。
「初恋の悪魔」では、消えていく・入れ替わっていく人格と、残っている・いま現れている人格を受け入れていく様を見せてくれたりするんでしょうか?
【ネタバレ】「初恋の悪魔」4話考察レビュー
「僕が知っている限り、あなたはいなくなりません」
自分はいったい何者なのか。
何もできないまま、消えていくんだろうか。
そうやって消えてしまったら、どうなるんだろうか。
そういう恐怖を感じながら生きている人はとても多いはずだ。
そんな人に向けた一つのアンサーが、この台詞だったように思う。
「僕が知っている限り、あなたはいなくなりません」
自分が何者かわからなくても、たとえ何もできなくても。
だれかが好きな食べ物を知ってくれている限り、そもそも私たちはいなくなったりしないのだ。
「大豆田とわ子と3人の元夫」の台詞と共通すること
それはいつか死んでしまったとしても同じことだ。
「大豆田とわ子と3人の元夫」で、とわ子から親友の死を打ち明けられた小鳥遊が、こんな言葉をかけるシーンがある。
「過去とか未来とか現在とかそういうのってどっかの誰かが勝手に決めたものだと思うんです。(中略)人間は現在だけを生きてるんじゃない。」
「だからあなたが笑ってる彼女を見たことがあるなら、彼女は今も笑ってるし。」
「幸せな結末も悲しい結末もやり残したこともない。あるのはその人がどういう人だったかということだけです。」
馬淵の言葉と小鳥遊の言葉、根底を流れる考え方は通じるものがある。
過去とか未来とか関係なく。
何をしたとかしていないとかも、関係なく。
私が知っているあなたがどういう人だったか、好きな食べ物や嫌いな食べ物はなんだったか、そういうことが全てであって。
それを私が知っている限り、あなたは存在し続けるんだ、ということ。
私はね、この考え方がすごく好きなんですよね。
星砂が消えたら、馬淵と鹿浜はどう受け止めるのか
大豆田とわ子は生と死の話だったけど、「初恋の悪魔」で解釈するなら。
自分に見えている姿があらゆる側面のうちのたった一つだったとしても、自分にとってはそれが全てになる。
ってことなのかな。
……よく分からなくなってきたぞ!!!
ただ、星砂は消えてしまう側の人格な気がプンプンしますね。
星砂が消えてしまってヘビ女が残ったとしたら、馬淵はどう受け止めるんだろう。
馬淵はさ、星砂という人格にしてもらったことが明確にあって、それで惹かれていったことが観ている側も何となくわかる。
だから星砂が消えてしまったら。自分が好きになった人格がいなくなったら、どうなるんだろうって思うんだよね。
でもじゃあ、鹿浜は?
鹿浜は星砂と話したわけでもないし何かをしてもらったわけでもなくて、好きになった理由が不明確ですよね。
だから鹿浜は、ヘビ女にとまどう理由もそんなにない気がするんだよなあ。
「初恋の悪魔」「大豆田とわ子」東野圭吾「時生」の関連性
少し余談だけど、東野圭吾の「時生」 という作品の中で、死が迫る主人公が父に向けて言う「明日だけが未来じゃない」という言葉がある。この小説はタイムリープの話で、まさしく過去も未来もない生と死と愛の話。私はこの考え方がとても好き。#初恋の悪魔
— しらこ@ドラマ (@shirako_drama) August 6, 2022
余談ですが、東野圭吾の「時生」という作品を読んだことがあるでしょうか。
不治の病に侵され死を目前にした時生が、過去にタイムリープして若き日の父親に出会うお話なんですが。
時生が父に向けて言う「明日だけが未来じゃない」という言葉が、馬淵や小鳥遊の言葉から解釈できる考え方と似ている部分があるなあと、ふと思い出したんです。
時生のセリフ「明日だけが未来じゃない」とは
死を目前にしてタイムリープした時生は、まさに過去も未来もない存在。
ある地点では死を迎えるのに、ある地点ではかつての父親と出会い笑っている。
時生はまさに、「明日だけが未来じゃない」旅をするんです。
小鳥遊の言う「人間は現在だけを生きてるんじゃない。」のとおりです。
いま目の前からいなくなってしまっても、どこかの地点では会えるんですよ。
その人のことを知っているなら。
もし読んだことがない方は、ぜひ読んでみてほしいです。
小鳥遊や馬淵の言葉の意味が、別の物語を通してより理解できるかもしれません。
ちなみに、私はこの「時生」が小説の中で一番好きです。
おわりに
何となく気になってるんですが、前回居酒屋でトマトを食べていた人格って、ヘビ女なんでしょうか?
ブランド物を買い漁っていた人物像とあんまり一致しないんですよね……
あとうさんくさすぎた署長、やっぱり怖すぎた。
↓5話の考察・感想はこちら
「初恋の悪魔」概要
放送日:毎週土曜日22:00~
主演:林遣都、仲野太賀
脚本:坂元裕二(「大豆田とわ子と3人の元夫」「カルテット」など)
プロデュース:次屋尚、池田偵子
演出:水田伸生、鈴木勇馬、塚本連平